辻村深月さん強化月間

またまた辻村深月さんの話です。

来月のサイン会に向けて今月は辻村さん強化月間にしました。

まず読んだのが
『噛みあわない会話と、ある過去について』

本屋大賞受賞後の第一作目。
辻村さんの作品は、作風によって"白辻村"と"黒辻村"に分けられることがあります。
これは"黒辻村"です。
全四編が収録された短編集。

『ナベちゃんのヨメ』
大学時代のコーラス部の同期だった男友達・ナベちゃんが結婚することになり、久しぶりに同期で集まることになった。
そこで紹介されたナベちゃんの婚約者は、言動がどこかズレており、さらに信じられない頼み事をしてきて…。

『パッとしない子』
小学校教師の美穂には、国民的アイドルになった教え子・佑がいる。美穂から見た小学生時代の佑は「パッとしない子」だった。
ある日、佑がテレビ番組の収録で母校を訪れることとなり、彼と話をすることなり…。

『ママ・はは』
同僚のスミちゃんの引っ越しを手伝い中、保護者会での真面目すぎてずれている児童の母親の話をきっかけにスミちゃんの母親との話になる。
話を聞いているうちにある違和感を感じる始める…。

『早穂とゆかり』
地元雑誌のライターをしている早穂は、塾経営者として有名になった同級生のゆかりの取材を行うことになる。早穂にとってゆかりは地味で目立たなイメージだった。
久しぶりの再会でゆかりから当時の話を切り出され…。



どの話も読んでいて心に突き刺さるものがあった。
特に『パッとしない子』と『早穂とゆかり』は読んでるほうも「ごめんなさいごめんなさいもうやめてください」というくらい主人公が追い詰められる。

わたしはどちらかというと佑やゆかりに近い人間なんですけど、ここまでして相手に仕返しする勇気はないなあ…。そこまでしなくても!と思ってしまう。
でも美穂や早穂の「そんなつもりなかった」というような取り繕う感じにモヤモヤしたり…。
なんとも言えない気持ちになりました。

『パッとしない子』での美穂の

繊細すぎてついていけない、と思う。
その子も、佑も、佑の弟も。
人の言葉をいちいち覚えていて、勝手に傷つくのはやめてほしい。こっちはそんなに深く考えていないのに。繊細すぎる。

という気持ちにはグサリとやられました。


『ナベちゃんのヨメ』は男と女の狡さを描いていて思わず唸った。
「いい人」で好きだけど恋愛対象には絶対にならない異性。ああーこういうことありそう、と思った。

『ママ・はは』は怖いというかなんというか、「世にも奇妙な物語」的な感覚だった。
母親の支配からなんとかして逃れようとする娘。
でもこの結末はどうなんだろう…。



人間は無意識にやったことを忘れているが、やられた方はいつまでも覚えている。
都合よく記憶をねじ曲げてしまう。
立場、考え方、記憶が違うから会話が噛み合わない。こういうどうしようもなさ、絶望感を描くのが上手いなあ辻村さん。

自分も同じことをしていないか…
過去の自分をこんなに振り返ったのは初めてかも。
読み終わってからしばらく考え込んでしまった。



続いて読んだのがこちら

ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)

ハケンアニメ! (マガジンハウス文庫)

『噛みあわない会話と、ある過去について』を読み終わりどうしようもないモヤモヤを抱えていたので次はとにかく明るい!楽しい!!のを読もうということで(笑)

ハケンアニメ!』は買ってから年に1回読み返すくらい好きで、何度読んでも面白い。
ハードカバーも持ってますが文庫のほうにしかない書き下ろしもあるので文庫も買いました。

アニメ製作に関わる人たちを描いた作品。
プロデューサー、監督、アニメーターそれぞれ立場の違う3人の視点から描かれています。

ハケンアニメ!』については今度もっとじっくり語りたい。
読み終わったらとにかく「あぁ~!楽しかった!」と思える作品です。


そして今読んでるのが『島はぼくらと』

島はぼくらと

島はぼくらと

瀬戸内海に浮かぶ冴島を舞台に、そこで暮らす高校生の幼なじみ四人を描いた物語。

夏になると読みたくなる小説。




しばらくは辻村作品にどっぷり浸かります。