濃密な読書体験『蜜蜂と遠雷』

恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読みました。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

2017年本屋大賞直木賞を受賞した作品。

あらすじは以下のとおり(幻冬舎サイトから引用)

俺はまだ、神に愛されているだろうか?
ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、
そして音楽を描き切った青春群像小説。
著者渾身、文句なしの最高傑作!

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇しCDデビューもしながら13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門ジュリアード音楽院マサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?


すごく面白かった。なんでもっと早く読まなかったんだろう。二段組で500ページ以上というびっくりなボリュームだけど活字に飢えてた私は貪るように読んだ。ピアノコンクールの緊張感、臨場感がヒシヒシと伝わってきて、自分自身も観客としてコンサートを聴いているような感覚だった。本から音楽が溢れてくる。今までにない不思議な体験。残りページが少なくなると名残惜しくなり、読み終わった後は心地良い疲労感と満足感。お腹いっぱい。
どの登場人物も魅力的だけど、私は特に明石さんに惹かれた。

孤高の音楽家だけが正しいのか?
音楽のみに生きる者だけが尊敬に値するのか?

生活者の音楽は、音楽だけを生業とする者より劣るのだろうか

という明石さんについ感情移入してしまい、とあるシーンでは目頭が熱くなった。



朝井リョウさんが「これを今から読める人羨ましい」って言ってたけど、まさにその通り。記憶を消してもう一度ゼロから楽しみたい。そんなことを思ってしまった。